26 Aug
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深い顧客理解をもとに、優れた体験を創造できる組織へ

Posted By: John Times Read: 45

デジタルを通じた心地よい体験により、顧客を惹きつける。その現状を知り、近未来の姿を展望するビジネスカンファレンス「Adobe Summit 2018」が3月25日~29日(現地時間)、ラスベガスで開催された。過去最多の13,000人を超える参加者を集めた今回、最も注目されたトピックは、Adobe Experience Cloudが拓く世界だった。デジタルマーケティングの基盤となる統合クラウドは、リアルとデジタル、顧客と企業の橋渡しをする「エクスペリエンスビジネスのための基盤」へと成長し、さらに企業の成長を決定づける「エンタープライズアーキテクチャの中核」として機能することになる。

考える人から、創造する人に

考える人から、創造する人に

初日の基調講演。冒頭で壇上に立った社長兼CEO、シャンタヌ ナラヤンは、ビジネスがB2Bであるか、それともB2Cであるかを問わず、「すべての組織はエクスペリエンスを創り上げる存在であり、それをより良くする努力を続けなければなりません」と話す。

「私たちは、あらゆる瞬間に何かを感じています。そして、何かにお金をかけたり時間をかけたりする際には、その対象に何らかの期待をしています。組織は、その期待を正確に把握した上で、優れたエクスペリエンスを提供するべきなのです」

ナラヤンは参加者に対して、この場に居るすべての人が、優れたエクスペリエンスを自ら率先して創造する「Experience Maker」になるべきだ、と説く。すなわち、エクスペリエンスについて考え、思い悩む「Experience Thinker」からの脱却だ。顧客や潜在顧客は、さまざまなチャネルで組織と接している。店頭でのスタッフとの会話、コンタクトセンターとの通信、紙媒体の記事や広告、デジタルプロモーションの受信。スマートフォンが行き渡り、音声デバイスに注目が集まる今、リアルな日常生活の中にデジタルが入り込み、リアルとデジタルの境界はあいまいになっている。

考える人から、創造する人に

世の中の人々は、あらゆる組織から日々発せられる大量の情報を浴び、その都度何かを感じ、行動に影響を与えられている。そして、すでに大半の組織は、そのことを認識している。しかしながら、「常に何かを感じている顧客に最高のエクスペリエンスを提供し続ける」ことこそ、自社のレゾンデートルであると明確に規定している組織はまだ多くはない。さらに、組織全体をエクスペリエンスビジネスへと変革するために、エンタープライズアーキテクチャを見直すことにまで踏み込んでいる組織となると、より少ない。現時点では、多くの企業が「業務の効率化」を目指したエンタープライズアーキテクチャを採用している。

エクスペリエンスビジネスのためのエンタープライズアーキテクチャ

エクスペリエンスビジネスのためのエンタープライズアーキテクチャ

ナラヤンは、アドビ自身が行ってきた改革について、クリエイター向けスイートとPDFを例に挙げた。かつて独立した製品であったクリエイター向けツール群は、データを自由に再利用できるスイート製品へと生まれ変わり、今では制作したクリエイティブを市場に展開するAdobe Experience Cloudとシームレスに連携できるようになった。すべてのデバイスで全く同じコンテンツを表示できるデータフォーマットであるPDFは、デファクトスタンダードとしての地位を確立した。しかしアドビはそれに満足せず、電子署名など市場から求められる機能を追加し、進化させ続けている。

「私たちは、製品の拡張と変革を続けてきました。Adobe Experience Cloudも同様です――。いえ、より大きな展望を描いています。エクスペリエンスビジネスに最適なエンタープライズアーキテクチャの中核になるプラットフォームへと進化させるのです」。

エクスペリエンスビジネスのためのエンタープライズアーキテクチャ

組織は、すでに業務効率化のために、ERPやCRM、SCMなどさまざまなシステムを利用している。これらは組織内部の情報を処理し記録することから、System of Records(SoR、記録のためのシステム)と呼ばれる。一方、デジタル時代のいま求められるのは、顧客と組織との結びつきを高めるためのシステムだ。これは、System of Engagement(SoE、エンゲージメントのためのシステム)と呼ばれる。
SoRは今後も不要になるわけではない。SoRには、顧客情報という重要な企業資産が蓄積されているからだ。ただ、それらすべては、組織が一人ひとりの顧客と向き合い、それぞれに最適なエクスペリエンスを提供することを目指したシステムではない。企業システムのあるべき未来は、SoRとSoEの高度に融合された姿だ。そしてAdobe Experience Cloudは、このSoEを担う業界最先端の基盤として、エンゲージメントのあり方を進化させてきた。

次にアドビが目を向けたのが、SoRというレガシーの有効活用である。既存のSoRに蓄積されているデータパイプラインを有機的に結び付け、顧客一人ひとりをより深く知ることで、SoEを通じた顧客とのエンゲージメントを高度化させる、というアプローチだ。

エクスペリエンスビジネスのためのエンタープライズアーキテクチャ

これを実現するには、高度なデータマネジメントが必要になる。そこでアドビは、「Experience System of Record=顧客体験のためのSoR」とも言うべき次世代のAdobe Cloud Platformを発表。エクスペリエンスビジネスを推進するためのあらゆる顧客情報を、「統合プロファイル」としてこの新しいプラットフォームに集め、共通のデータフォーマットで蓄積できるようにした。

これにより、エクスペリエンスビジネスを実現するSoRとSoEの融合されたシステムを、エンタープライズアーキテクチャの中核に据えることができる。統合プロファイルの実現により、データの再利用が容易になるため、あらゆるビジネス施策は深い顧客理解にもとづいたものとなる。

顧客のエクスペリエンスを次のアクションに生かす

顧客のエクスペリエンスを次のアクションに生かす

深い顧客理解への課題は、膨大なデータの扱いだ。デジタルマーケティング事業部門担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、ブラッド レンチャーは、「データサイエンティストはすばらしいスキルを持った存在です。しかし、彼らは自身の80%の時間を、 “データ整備”に使っています」と話す。常にデータが利用可能な状態に整えられていれば、データを集め、クレンジングし、分析できる状態に持ってくる“作業”に彼らの貴重な時間を奪われずに済むことになる。深い顧客理解の課題を支援するのが、進化を続ける人工知能および機械学習フレームワークであるAdobe Senseiであり、データサイエンティスト向けに新登場したData Science Workspaceだ。

顧客のエクスペリエンスを次のアクションに生かす

「データサイエンティストは、機械学習モデルを確立し、移り変わる顧客の行動にもとづいてモデルを調整するという本来の業務に十分な時間を割けるようになります。エクスペリエンスビジネスを支える機械学習の主要な能力は、アトリビューション分析、顧客セグメンテーション、オーディエンススコアリング、カスタマージャーニー予測の4つ。Adobe Experience Cloudをエンタープライズアーキテクチャの中核に据えれば、これらをリアルタイムに実行できます」(レンチャー)

顧客のエクスペリエンスを次のアクションに生かす

顧客がさまざまなチャネルと接したときの感情を、感じた瞬間に分析し、各システムおよび各ビジネス部門へとフィードバックする。社内の改善は大切だが、そこに重きを置くのではなく、顧客のエクスペリエンスを次のアクションに生かすことを重視する。大きな変革になるが、そのハードルを下げるいくつかの新機軸も披露された。

 

重要なポイントは2つある。まずは、GDPR(EU一般データ保護規則)のようなプライバシーへの対応。個人情報を扱うシステムとして、Adobe Experience Cloudはあらかじめプライバシーを前提に設計されている(privacy by designの原則)。そのため規則に従って収集した顧客データなら、Adobe Experience Cloud上で管理し、適切に処理することで、顧客のプライバシー保護も強化される。

 

もう1つは、パートナーエコシステムの拡充だ。Adobe Experience Cloudは、あらゆる顧客タッチポイントから得られた、さまざまなデータソースからもたらされる膨大なデータを管理することになる。そのデータを常に利用できるようにするためには、フォーマットを共通化しなければならない。そのために、「エクスペリエンスデータモデル(XDM)」を業界標準として公開した。また、エンタープライズIT分野で豊富な実績のある各種ETLツールをはじめ、ソーシャルメディア接続ツールやECツールなど、広範なパートナーとの連携を強化する。

顧客のエクスペリエンスを次のアクションに生かす

これらのイノベーションにより、Adobe Experience Cloudは、「エンタープライズアーキテクチャを構成するデジタルマーケティング基盤」から、「エクスペリエンスビジネスにおけるエンタープライズアーキテクチャの中核的存在」へと飛躍する。そして、実際にそうしたアーキテクチャを整備することができれば、組織は真のエクスペリエンスビジネスへの変革に向け、顧客に最良のエクスペリエンスを届け続けることを目指す基盤が整うことになるだろう。

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